ルネサンス黎明期は、1300年から1400年頃を指し、その時期のトスカーナ地方では、フィレンツェ派の始祖と言われるチマブーエと、シエナで活動したドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャが特に有名な画家として活躍しました。
フィレンツェ、シエナはともにビザンティン美術の影響を強く残した画家である。描いたジャンルは聖母子を描いた大規模な祭壇画などの宗教画がほとんどだった。同時代には、グイード・ダ・シエナ 、コッポ・ディ・マルコヴァルド、そして高度に様式化された作風で描いた伝統的古代ギリシア様式のイコンが残っている、通称「聖ベルナルディーノの巨匠」と呼ばれる画家などがいる。 テンペラで描かれたそれまでの画家たちの絵画はルネサンス絵画に比べると生硬なものだった。描く主題によって様式は決まっており、たとえば聖母子を題材とした作品の場合であれば描く手の位置まで指定され、作品を見るものに対して鑑賞法を強いるような構成で描かれていた。聖母マリアの頭部や肩の角度、髪を包むヴェール、容貌なども画一化され、同様の構成、構図で描かれた作品が無数に制作されていた。このような当時のトスカーナ絵画界において、チマブーエとドゥッチョ、そしてローマのピエトロ・カヴァリーニは、ゴシック、ビザンティンの影響が残るとはいえ、次世代ルネサンスの絵画作品の主流となる自然主義の萌芽となった重要な画家といえる。
※ 参考 : London National Gallery
年代
ルネサンス黎明期
1200
1300
1400
1500
1600
1700
1800
1900
2000